2023年2月8日には、3つの報告、質疑応答及び議論が行われ、2時間余り実施した。

テーマ①:「コロナ禍の下における全港湾新潟支部の労供事業の実態、そこに見られた成果や課題」、報告者:那須野智広氏(全港湾新潟支部書記長)

報告概要は、次の研究会提出資料を参照のこと。

(1)新型コロナウイルス以前について

 新型コロナウイルス前に関しては、トラック、港湾作業、倉庫作業を中心に年間約9,000人(常用/臨時)、常用供給に関しては月平均1人15日の供給実績があり港湾の波動性や何より、供給先の企業の社員の時間外緩和、休日取得、休日出勤の減少等、労働環境の改善に大きく貢献してきました。

(2)新型コロナウイルス禍における状況と実態ついて

 新型コロナウイルスの影響に関しては、職場クラスターの発生はなかったものの、職場内で濃厚接触者等は多く発生し、不荷役船や作業を制限しなければいけない現状があったのは実態です。

 また、新潟港の取扱にも大きな影響を及ぼし既存貨物であるチップ関係の取扱が大きく減少しました。企業によっては合理化をせざるを得ない状況となりました。企業の合理化提案の中に、「労働者供給事業の活用を最低限にとどめたい」といった考え方もあり、会社にも雇用関係がない、組合とも雇用関係がないといった非常に弱い立場であることを再認識することとなりました。

 しかし、私たちは同じ労働組合に属する組合員という位置づけのもと、労働者供給事業部組合員の「雇用と生活」を守るべく、供給先企業に訴えかけてきました。

 その結果、供給日数については、取扱貨物の減少もありましたが、年間約7,500人(常用/臨時)の供給実績を上げ、常用供給に関しても月平均15日の供給を何とか維持することが出来ました。

正規社員における対応と労働者供給事業における対応について紹介します。

1)正規社員における労使での確認事項

賃金保障(2020年6月覚書締結)
 ①新型コロナウイルス感染症を疑われる場合(濃厚接触者等)
  ・企業に対し、特別休暇の付与し賃金100%を保証する。(同居家族含め)
 ②新型コロナウイルス感染症に罹患した場合
 ・現在
 締結済みの私傷病協定に沿った対応を行う。(1年6カ月までは賃金100%)

検査キット(2021年度地方統一要求)
①新型コロナウイルス感染症を疑われる場合については、所属企業がPCR検査キットを用意し、社内にコロナを持ち込ませない対応を実施した。

コロナワクチン接種(2021年覚書締結)
①新型コロナワクチン予防と職場クラスター防止の観点から労使でのコロナワクチンの推奨し、組合員が積極的に摂取できる環境を整える事。(具体的には接種部の休日化)
※接種しない組合員に対して、差別や不利益な対応を行わない事。

②接種後の副作用の対応(無理に作業をさせない。あるいは休日取得(個人の休み)をさせる事)

2)労働者供給事業部における対応。(執行委員会確認事項)

賃金保障
①新型コロナウイルス感染症が疑われる場合(濃厚接触者等)及び罹患した場合
・起因が供給先企業にある場合は、供給先企業の責任で供給可能日数(待機期間中)の賃金補填を行う。
・起因が供給先企業にない場合については、過去3カ月の平均供給日数を出し、当月の供給実績における不足分を労供会計から補填する。
(例:過去3カ月平均10日、当月実績8日、2日分を労供会計から補填)

検査キット
①新型コロナウイルス感染症が疑われる場合(濃厚接触者等)
・起因が供給先企業にある場合については、供給先企業の責任として検査キットを用意する。(同居家族分も含めて)
・起因が供給先企業にない場合については、労働者供給事業部(組合)が用意する。(家族分も含めて)

コロナワクチン接種
・供給先企業の職域接種にて接種出来るように要請を行った。
・接種日の休日、副作用の場合の休日は対応したが、賃金補填には至らなかった。

※以上、新潟支部の同じ組合員として、出来る限りの賃金、検査キット等、「組合員と家族含めた命」と「職場にコロナを持ち込ませない事」を最優先に考え対応しました。

(3)様々な取り組みの成果と現状、今後の課題

 供給実績については、作業の落ち込みにより供給実績は減少しましたが、供給先企業には「労働者供給事業部の重要性」を訴え、今までの供給数は確保しました。また、コロナウイルスの対応については「疑わしきは疑え」で対応した結果、職場クラスターの発生を防ぐことができ、多くの労供組合員からは感謝の声が聞こえ、「組合員の精神的支え」になったと実感しています。また、他港からの臨時供給についても、昨年同じ日本海地方の仲間である、七尾、舞鶴からも力を借り業務の応援をしてもらいました。

 今の新潟港の現状は、コロナの影響により減少した貨物は回復の兆しを見せ、併せて人員不足の影響により、労働者供給事業部の力を借りなければ各社作業が回らない状況にあります。しかし、常用供給の作業配置には限度があり(倉庫・沿岸作業が中心)、今後の課題として、臨時労供の強化が重要になってくると考えます。確かに、他港からの応援は大切ですが、同じ新潟港内で臨時供給(現状は7社中3社のみが協定締結)を活発に行っていく事が非常に重要だと考えます。

 また継続課題としてOBについては、定年者及び再雇用終了者へ喚起し人数を確保できるものの、若手については、次の就職が決まるまでの期間と言う位置付けであるものの、なかなか就職も無く長期登録者が増えている現状があります。コロナ禍においても人員不足も重なりそれなりの就労が確保できましたが、就職では無く、就業日数の関係により人員確保が問題となる。但し、ただ人員を増やすだけでは無く、各社の従業員数や仕事量を把握し適正人数を維持する事も課題と言えます。

 労災補償については、ケガの場合は供給先の労災対応となりますが、企業籍を持たない労供登録者は、業補償や企業上積みの問題も課題と言え、特に就労できない日の補償が問題であると捉えています。

(物損事故については各企業と打合せを行い、労供会計より補填する場合もある。)

以 上