2018年11月2日 横山南人
労働者供給事業において、本来供給労働者は供給先に雇用され社会労働保険が適用されるべきですが、労働者供給が認知されていないこともありその実現が困難でした。また、労働者派遣法ができてからは派遣の場合、派遣元が雇用するため、派遣との競合において、供給における供給先での社会労働保険の適用はますます困難となりました。
そのような中、1999年12月の職業安定法改正において、供給・派遣ができるようになりました。供給組合が、自ら派遣事業体を持ちその派遣事業体に供給し、従来の供給先へはその派遣事業体から派遣するという仕組み(下図)により、供給組合が擬制的に事業主性を持ち社会労働保険を適用することができるようになりました。
ところが、2015年9月30日に施行された改正労働者派遣法では、それまで専門26業務においては派遣期間制限がなかったところ、改正後は原則として3年間の期間制限が付くことになり、供給・派遣の仕組みの元では表向き派遣になるため本来の供給にとってはその期間制限が甚だ都合が悪いことになりました。
その対策として、労供労組協において昨年5月より労供研究会等で供給組合における社会労働保険の適用について検討を行ってきました。 検討を重ねた結果、以下の考え方により供給組合における社会労働保険の適用を2018年10月より行っています。
【供給組合における社会労働保険適用時の考え方】
1.供給される組合員は供給組合および供給先企業と雇用関係(下図参照)を持つ。
2.供給組合は、供給組合員に対して社会労働保険の適用を行う。
3.雇用責任は供給契約期間中に限り供給元および供給先企業が負う。
4.供給契約の例を別紙「基本協約書(供給元で社保適用の例)」に示す。